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Why UPDATER? // 電力業界では珍しい、アーティスト担当という仕事

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UPDATERには「アーティスト担当」という、電力やサステナビリティの会社としては一見聞きなれない、珍しい仕事をしているスタッフがいます。今回は、アーティスト担当の早川弥生さんにお話を伺いました。

行動するアーティストを見て一念発起、再エネ業界へ


ー早川さんは「アーティスト担当」ですが、どんな仕事をされているのでしょうか。

現在は「アーティスト電力」という、アーティストの方がつくった再エネの電気をファンの方が使うことができる世界で唯一の電力サービスの運営がメインです。アーティスト電力には、第1弾いとうせいこうさん第2弾シアターブルックの佐藤タイジさん、そして第3弾 ACIDMAN Vo,G の大木伸夫さんが参加されています。
ー元々、音楽やアーティストとつながりがあったのですか?

よく聞かれるんだけど、全然なかったです。元々は外資のIT企業で仕事をしていて、音楽はプライベートとしてずっと好きでライブに行ったり、好きなアーティストの情報を追ったりしていました。

そして3.11が起こった時、私の好きなアーティストたちは真っ先に現地に入って、自分たちで物資を集めて自分たちの車で届けて、という活動を毎日やっているのをSNSを通して見ていたんですね。

外資系企業ってボランティアに積極的に行く仕組みがあるから、私もボランティアに行っていたんですけど、「私の好きなアーティストたちはちゃんとやってんなー、もっと私にもできることないかなー」というモヤモヤも抱えていて。

当時、ライブをやるなんてという風潮もあって、楽しみにしていたライブが全部なくなったりもしたんですけど、その中でアーティストたちはトークショーをやり始めた。最初はアーティストたちが現地の状況とかを話すような場だったのが、次第に自然エネルギー財団の方が出たり、環境系の方とトークをするようになって、再エネのことを耳にするようになりました。

そのときに、あるアーティストが「次に転職するなら再エネ業界だ」って言ったんです。それで私は「それだ」と思って、2017年に行った『NO NUKES』(坂本龍一さんが発起人となった「脱原発」をテーマにしたロックフェス)のチラシを引っ張り出してきて、そこに再エネの会社がいくつか載っていたから、「ここから選べばいいんだ」と思いました。

それでいろいろ調べてみて、一番おもしろそうだったみんな電力の門を叩くことになりました。2018年に、法人営業として入社しました。

アーティストの方に「再エネ切替」を知ってもらうことから始めた


ーどんなきっかけでアーティストと仕事をするようになったのでしょうか。

私がみんな電力を知ったきっかけでもある『NO NUKES』へ協賛の話があって、「私それプライベートでも行ってますよ」と言ったんです。


当社は選択肢を提示するプラットフォーマーなので、基本的に何かを反対・否定する姿勢はとりません。そのため、脱原発を掲げているフェスへどう協賛するのかはとても難しいですよね。そこで、みんな電力としてはどういう趣旨で協賛するのか、フェスの中心となっている方とお話しすることになっていました。

元々音楽が好きだから、NO NUKESに出演しているアーティストたちが3.11以降東北に足しげく通って支援活動をしていることも知っていたし、どこから話をしていけばアーティストたちが話を聞いてくれるかという関係性も、ファンだからなんとなく分かっていました。

NO NUKESの中心となっている方からご紹介いただき、みんな電力がどんなことをしているのかお話させていただいてから、出演しているアーティストたちにお話していきました。

そもそも脱原発を掲げているフェスなのに、当時は会場となっている場所の電気は大手電力会社のものでした。その後会場の電気も切り替わりましたし、お話したアーティストの中で、1カ月も経たないうちにご自宅と事務所を再エネに切り替えてくださった方もいました。

その時におっしゃっていたのは、「やり方が分からないだけだから教えてほしい。電気が5分くらいで切り替わるってことも知らないだけだから。早川さんがそれを伝えていったら変わるよ」ということでした。

「じゃあ私がこれをやろう」と。それで電力業界の中でも珍しい「アーティスト担当」になりました。アーティスト電力という仕組みも構想としてはあったけど、まずは電気を切り替えるお手伝いからスタートしました。

中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2023にて。右に写るのは、いとうせいこうさん。


ーアーティストがアクションをしている姿から、自分にも何かできないかと考えて転職した結果、アーティストと仕事をするようになったんですね。

ミュージシャンって1日1日をすごく大切に生きてますよね。嘘はつかず、まっすぐに生きているという姿勢が私はすごく好きなんです。ライブに行くと、「私もこんなふうに生きよう」「イライラしちゃってた自分よくなかったな」とかを思う。


でも帰りの電車に乗ると一気に現実に引き戻されるというか。311以降東北を助けたいという思いがあったのに「できてないなぁ、この仕事違うよな」と思いながら通勤していたんです。

転職するなら再エネ業界だ、という話を聞いた時、「あ、私は再エネの業界に入ったら、アーティストと同じ世界にいける、東北の支援ができる」と思いました。一緒に仕事ができるなんて1ミリも思っていなくて、ただ「私もあんなふうに生きたい」という気持ちでした。

「面白くて、儲かる」の「儲かる」部分がめちゃくちゃ難しい


ー結果的にいま、「好きを仕事に」が実現できているわけですが、UPDATER2原則にもあるようにビジネスとして成り立たせるには、「面白くて、儲かる」という両面が必要ですよね。

アーティストとの仕事は、信頼関係の構築が最も大事だから、まず気に入っていただくこと、みんな電力のファンになっていただくことが一番大事だと思っています。


現場に行ってアーティストにお声がけしますが、どのタイミングで、どんなことを話すべきか、アーティストが話してほしいことは何なのか、リサーチして準備して。それでも上手くいかないことももちろんあるから、プライベートでフェスに行った方が100倍楽しいなとは思います(笑)。

儲かる部分では、何人のアーティストが契約したとか、どれだけの売上があるかという数字の見せ方だけではなく、エネルギーに対して人一倍熱量のあるアーティストと関わりがあることによって生まれるブランディングという面で、UPDATERへの価値を生み出すことができると思っていますが、数値にするのが難しい・・・。

UPDATERのオフィスには所々にアーティストのサインやパネルが飾ってあります。お客様が来社された際にアーティストとの取り組みを説明すると、実はそのアーティストを推している方だったりすることもあり、法人のお客様にも脱炭素や再生可能エネルギーへ取り組む意欲が生まれることがあります。


ファンの力というのはすごく偉大で、自分の推しがどんなことをしているのか、いつも関心を持っています。

どんな曲を聞いているのか、どんなモノを使っているのか、調べて同じものを買ったり、同じものに意識が向いたり、ファン同士の熱量ってすごく興奮するから「うんうん、分かる~」って心から共感する事が多いんです。そのムーブメントって「世の中を変えれそう!」って思いませんか?!

今はアーティスト電力という、電気を通じてアーティストとファンがつながるサービスを提供していますが、電気を供給するだけではなくて、発電所がある地域でライブしたり、周辺の産業も掛け合わせた様々な商材でグッズを作ったり、アーティストを通してファンの方へアピールすることができると思います。

日本のアーティストも自分の言葉で発信できる世界をめざして


ー早川さんがアーティストとともに作りたい世界観を教えてください。

日本のアーティストが自分の言葉で発信できる環境を作りたいと思っています。このままだと、近い将来大好きな夏フェスができなくなります。「今フェスに来ているあなたたちにもできることあるよ」と伝えてもなかなか伝わらないと感じています。

年々猛暑で長時間外に出られなくなってますよね、でも太陽の下で音楽を聴きたい。そのためには気候危機を止めていかなければなりません。フェスに来ている一人ひとりのアクションを生むには、まずアーティストが発信したくなる環境をつくること。電気をシフトするとか、環境に配慮するとか、かっこつけているという風潮があって、でもかっこいいことをやっているんだから堂々と言える世界を作りたい。


今日1日楽しいだけじゃない、5年後も10年後も楽しく生きたいし、フェスに行く方はきっと行動力がある方だから、アーティストが動いたらファンもきっと変わると思っています。

現在の活動メインは、アーティスト電力第3弾、大木伸夫発電所のPRに奮闘中。



ー「推し」という言葉がポジティブに浸透してきて、ファンの力をどう企業活動に取り入れていくか、非常に重要になってきていると感じます。アーティスト電力という仕組みを2019年頃には構想していたというのは、非常にUPDATERらしいエピソードですね。電力業界唯一のアーティスト担当として、これからどんな新しい価値を世の中に提供できるか、とても期待しています!

◆アーティスト電力
・いとうせいこう発電所
https://minden.co.jp/personal/shareland/seikoito/

・太陽のタイジ発電所(シアターブルック 佐藤タイジ)
https://minden.co.jp/personal/shareland/taijisato/

・大木伸夫発電所(ACIDMAN)
https://minden.co.jp/personal/shareland/okinobuo/

・アーティスト電力X
https://twitter.com/artistdenryoku
WRITER
菊川春佳
共創・コミュニケーション部
菊川春佳

学生時代にソーシャルビジネスに興味を持ち、インターンを経験する。卒業後はいくつかの業界を転々とする中で広報という職に出会い、社会や地球をより良い方向へ変革している会社を世の中に伝えたいとの想いで2023年5月よりUPDATERにジョイン。1児の母として子育て奮闘中。