いってらっしゃい!UPDATER // 情熱を胸に、世界の社会課題へ挑む
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「いってらっしゃい!UPDATER」として、UPDATERを退職するスタッフへのインタビュー。今回お話を聞いたのは、2020年に入社され、みんな電力の法人営業を担当されてきた小澤雅志さんです。
「再エネを広げる」という野望
ー最初に自己紹介をお願いします。
私は福島県の会津若松市の出身で、そもそも環境問題に興味をもつ原体験となったのは、小学生のときに水力発電所のダムやごみ処理場を社会科見学したことです。「こんなにたくさんのごみが出続けたら埋めるところがなくなるのではないか」などと感じた経験でした。
また福島第一原子力発電所も身近にあり、経済的なメリットが地元にあることを子どもながらに感じる一方で、マイナートラブルがテレビで報道されるのも見ていたので、「大丈夫なのかな」という思いも持っていました。
そんな中、東日本大震災が起こりました。原子力について改めて考えるきっかけになりましたし、自分が福島県人としてできることを考えた時に、再エネを広げることが自分がやりたいことだと思いました。それこそが福島に恩返しできることだと思い、「再エネを広げる」という野望をその時に持ちました。
実は原発事故が起きた時、震災が起きる2,3時間前まで中学校の卒業式だったんですよ。だから忘れられないですし、あの日だけなぜか時の流れが遅く感じたのをすごく覚えています。
ー高校、大学とどのように進んで来られたのでしょうか。
ヨーロッパで再エネが進んでいるという知識があったので、短期的にはヨーロッパに留学するという目標を持ちました。留学の為にも、また将来仕事を始めた時でも、言語のせいでチャンスを逃すことはしたくないと思って、英語の勉強に力を入れていました。
地元の進学校に通っていたのですが、当時の英語の勉強って、とにかく英語から日本語に翻訳するという勉強法で「俺は翻訳機か!」と感じたんですね。もちろん翻訳も大事ですが、しゃべって、書いて、聞いての作業が大事だと思っていたので、現地に行って英語を身に着けようと思って、1年次が終わったときに高校を辞めました。
その後、カナダの高校に留学し、卒業しました。しかし当初は、日本であんなに英語の成績がよかったのに、カナダに来たら全然通用しなくて「今まで自分がやってきたことは何だったのか」と、人生最初の挫折も味わいました。
高校卒業後は帰国して日本の大学へ進学、大学在学中にブルガリアへ1年留学しました。ヨーロッパの留学先としていくつか選択肢がある中で、環境問題を勉強できるのがブルガリアのソフィアか、アイルランドのダブリンでした。
ブルガリアは元々社会主義の国で言語も英語圏でないので、カナダとは違う体験ができると思いました。加えて、ブルガリアはヨーロッパの中では比較的発展途上の国で、気候変動や環境対策関連についてもEUの支援を受けて発展中だったので、そういった点も魅力に感じブルガリアを選択しました。
2つの国での留学を通して、「当たり前のことを疑う」ことの大切さをとても強く感じたので、今でも大切にしている価値観となっています。
誠実に丁寧に、お客様と向き合ってきた
ーUPDATER(当時のみんな電力)に入社した決め手は何だったでしょうか。
就活をしている中でみんな電力(以下みんでん)に出会い、「コンセントの向こう側を考えたことはありますか?」と問われて、最初は何を言っているんだろうと思いました。でも、話を聞いている内に「顔の見える電力」というのをやっていること、さらに調達している発電所の中に自分も知っている福島の再エネ事業者がいることがわかりました。
地元の再エネ事業者が東京の会社と繋がって電気を供給できていて、「顔の見える発電所」として発信してもらっている。この会社だったら、再エネを広げて福島に恩返しするという私の野望が達成できそうだなと思い、みんでんに決めました。
ー入社してからはどんな仕事を担当されてきましたか。
法人営業としてみんな電力を企業の方にご紹介してきました。記憶に残っている案件としては、石川県にある吉田酒造店さまです。みんな電力北陸エリア初進出となるお客様になりました。
みんでんに問い合わせいただくお客様は、「持続可能な世界のために再エネを使っていこう」という想いがすごく強い方が多いと思います。吉田酒造店さまもそうでした。
元々日本酒業界はあまり電気を使うことなく自然と共生している産業でしたが、より良いお酒を造るための製造現場や、よりおいしく楽しむために冷蔵保管を徹底することで、20年前よりも電気を多く使うようになったそうです。
代表の吉田泰之さんが「ミライへ繋ぐ、持続可能な酒造り」を実践したいという想いをお持ちだったため、正直、見積もりをしたときに以前より高くなってしまったのですが、それでも切り替えていただくことができました。
お客様の強い気持ちが何よりの理由だと思いますが、あえて自分がやったことを言うと、なぜ皆さんがみんでんを選んでいるのかという付加価値として、「顔の見える電力」というコンセントや電源指定できることなどを誠実にお伝えさせていただきました。
やはり私は、初めてみんでんを知った時から「顔の見える電力」というのが、みんでん最大の魅力だと思っています。安さで勝負するのではなく、提供する価値を大切にしている点に非常に共感しています。時間をかけてコミュニケーションをとっていった先で、お客様のやりたいことが実現できたときが、自分にとって仕事のやりがいを感じられる瞬間でした。
海外で働き、人に貢献することをしたい
ーそんな中、次のキャリアを選択するに至った背景を教えてください。
退職を考え始めたのは1年ほど前、ちょうどお客様に値上げのお願いをしていた頃です。その際、もちろんお客様から厳しい声もありましたが、「自分たちは再エネを使いたいから応援する。自分たちも広めていきたい」といったポジティブなお声もいただきました。
以前に比べて再エネが世の中的に認識されるようになってきて、ユーザー側が自ら「再エネを使っていこう」と広げてくれるような風潮になってきたなと感じるようになったんです。
私の目的は多くの人に再エネを知ってもらって使ってもらうことでした。今の状況は、自分が何かやらなくてもお客様が自主的に動いていてくれるので、これから再エネはどんどん広がっていくと思うし、自分のやりたかったことはここで一区切りなのかなと思いました。
加えて、自分のキャリアを考えた時に海外で働いてみたいという欲求が湧いてきたことと、仕事の価値観としてお金を稼ぐことよりも、人に貢献することを大事にしたいと思っているので、JICA海外協力隊というキャリアが適切ではないかと思い、その道に進むことを決めました。
ーJICA海外協力隊ではどんなことをするのですか。
バヌアツ共和国で、環境教育という職種に就きます。自分がこれまで知識や経験を積んできたのがエネルギーや環境といった分野のため、この分野で世界に貢献したいと思い、環境教育を選びました。
バヌアツは観光で発展している最中で人口も増えている一方、インフラなどがまだ整っておらずごみ問題が発生しています。ごみ分別の法律はできているそうですが、それがまだ一般生活者レベルには落とし込めていないため、バヌアツの人々にごみの分別を習慣づけることが2年間のミッションになります。
国と国の懸け橋になることが次の野望
ー今後小澤くんの人生でやっていきたいことを教えてください。
まず思い描いていることは、人のために貢献するということです。自分の仕事をきっかけに世界と日本、様々な国と国がつながって色んなビジネスチャンスが生まれる状況を作っていきたいです。
正直、今の自分では海外とのビジネスチャンスを作れるほどの実績やコネクションもありません。UPDATERには手を挙げたらやりたいことを応援してくれる風土がありますが、今の自分では事業を作ることは難しいなと判断しました。
そのため、まずはJICA海外協力隊としてバヌアツに貢献して、日本との懸け橋になりたいと思っています。バヌアツと日本がつながるきっかけになりたいと思っていますし、UPDATERのバヌアツ事業を立ち上げるような土台を作ることもできるかもしれません。
国と国との関係を育んでいってチャンスを生むことで、人に貢献してみんなの笑顔が見れるようなことがしたいと思っています。
ー繋がりをつくる、関係を生んでいくというのは、今UPDATERがやっていることにも近いなと感じました。海外で経験を積み、パワーアップした小澤さんとまたどこかでご一緒できるんじゃないかなと思っています。心から小澤さんのチャレンジを応援しています。お話を聞かせてくださりありがとうございました!
WRITER
共創・コミュニケーション部
菊川春佳
学生時代にソーシャルビジネスに興味を持ち、インターンを経験する。卒業後はいくつかの業界を転々とする中で広報という職に出会い、社会や地球をより良い方向へ変革している会社を世の中に伝えたいとの想いで2023年5月よりUPDATERにジョイン。1児の母として子育て奮闘中。